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会社データの見方

「会社データ」で経営状態をチェック!
自分のやりたいことや社風、待遇などの雇用条件は会社選びの重要な要素だが、もう1つ大事なのは経営状態を知ること。情報誌や就活サイトで会社の経営情報は公開されているが、「資本金が大きいほどいい会社」「売上高が高いほど優良企業」といったイメージだけでとらえている就活生も多いのではないだろうか。データのきちんとした読み方がわかれば、これらの数値の高さが必ずしも優良企業を示しているわけではないことがわかる。ここでは、会社データに登場する用語の意味と数値の見方を、会社選びに必要な要素に絞って紹介する。会社データの基本を理解して、本当にいい会社かどうかをしっかりつかもう!
これだけは覚えておこう!
【資本金】
会社を設立するにあたり、元手として株主から集めたお金。金融機関から借りたお金とは違い、返済の義務はない。「資本金」として会社データに記載されるのは「設立当初に用意されたお金の額」。会社設立後、資本金は運転資金として利用されるため、「設立後も変わらず会社にあるお金」ではない。
資本金は会社の規模をはかるひとつの目安にはなるが、事業内容によって必要とする資本金の額は異なるため、単純に「資本金の額=会社規模」とはいえない。例えば、建設業や製造業など多額の設備投資が必要な業種の場合、1000万円の資本金でも不十分な場合もある。資本金の額から会社規模の大小を知りたいなら、同一業種で比較すること。ただし、負債や売上などの数値は企業によって異なるため、資本金の額だけで会社の安定性までを判断することはできないので注意。
〈もっとわかりやすく!〉
あなたが八百屋(小売業)を開店するとしよう。そのためには商品を売る場所、商品となる野菜や果物の仕入れ、仕入れのためのトラック、商品を並べる陳列台など、必要なものがたくさんある。それらを用意するためには自分の貯金100万円では足りない。そこで父親に相談すると、「返さなくていいよ」と200万円出してくれた。この200万円と経営者である自分の用意した100万円の合計300万円が「資本金」にあたる。これであなたは必要なものを揃え、余ったお金は開店後の資金としてとっておくことができた。
あなたの八百屋の隣にパン屋(製造小売業)が開店した。資本金は600万円。資本金の額だけを比べれば、パン屋のお店の規模は八百屋の2倍ということになる。しかし、パン屋を開店するためには高額の業務用厨房機器が必要で、店主は資本金以外に銀行から500万円借りて用意した。つまり、八百屋に比べかなり設備にお金がかかるのだ。このことから、業種の違うもの同士を資本金のみで単純比較できないことがわかる。
今度は、あなたのお店と資本金が同額の八百屋で比較してみよう。同業で資本金が同じなら、お店の規模にほとんど差はない。しかし、あなたの八百屋は売上がよく利益を出しているのに対し、一方の八百屋は売上が悪く資本金を使い果たし、親戚から借金をしているとしたらどうだろう。資本金(規模)は同じでも、あなたの八百屋の方が経営の安定したお店だといえる。
【売上高】
商品やサービスの提供など、会社の主な営業活動によって得た金額の合計で、「営業収益」と記されることもある。「売上高(単)」と記されている場合は、その会社のみの単独の売上高、「売上高(連結)」と記されている場合は、連結会社(子会社・関連会社)を含む自社グループ全体の売上高を指す。「年商○億円」の「年商」は、この売上高のこと。年ごとの売上高の増減により、その会社の成長具合や事業規模の拡大・縮小傾向を知ることができる。売上高は業種によって大きく異なるため、同一業種で比較すること。
〈もっとわかりやすく!〉
あなたの八百屋における過去5年間の売上高の推移は、初年度1500万円、2年目1700万円、3年目1800万円、4年目1900万円、今年度2000万円。大きな変動もなく着実に売上高を伸ばし、順調に成長していることがわかる。
【営業利益(本業での利益)】
売上総利益(後述)から経費(人件費、販売費、通信費など)を差引いた金額。この営業利益が高いほど、ムダな経費が少なく経営効率がよいことになる。
〈もっとわかりやすく!〉
あなたの八百屋の今年度の売上高2000 万円から仕入れに使った1400万円を引くと、売上総利益は600万円。そこからお店の家賃や電気代、人件費などにかかった400万円を差引くと、営業利益は200万円となる。一方、ライバル店の八百屋の売上総利益は700万円、営業利益は150
万円。ライバル店より売上総利益が低いにも関わらず、営業利益で上回ったあなたの八百屋は、経費をおさえ効率のよい経営ができていることになる。
※ 上記の例は、あくまでも財務や会計の原理をわかりやすく説明するためのもの。株式会社の財務・会計とは厳密には異なるので、理解の手助けとして利用してほしい。
知っていればもっとよくわかる!
【総資産】
土地や建物、機械、設備、車両、現金、預金、有価証券など、決算時点で会社の所有する全財産を金額で表したもの。その財産の元手となった資金は「総資本」と呼ばれ、総資産と総資本の額は一致する。
総資本の内、金融機関などから借りている返済義務のあるお金を「負債」といい、「他人資本」とも呼ばれる。一方、資本金や資本金以外の株主からの出資金、過去の利益の蓄積など、総資本の中で会社が集めた返済義務のないお金を「資本」といい、「自己資本」とも呼ばれる。
この総資産の額から会社の規模を知ることはできるが、資本金同様、その安定性まで判断することはできない。
【自己資本比率(株主持分比率)】
「総資本」に対する「自己資本(株主持分と同義)」の割合。いつか返済しなければならない負債とは違い、返済の必要がない自己資本は会社が万が一の際に備える貯蓄ともいえる。そのため、この比率が高いほど経営の安定性・健全性が高いとされる。ただし、業種によって差があるため、一概に「自己資本比率が○パーセント以上なら安定経営」とは言えない。
【有利子負債】
金融機関からの借入金など、利子(利息)のある負債の合計。会社の収益力や資産規模に比べて有利子負債が大きすぎると自己資本比率は下がり、経営は不安定になる。そのため一般的には、この有利子負債が少ないほど優秀な会社だといえる。ただし、将来的な利益が見込まれる事業拡大や設備投資で借入金が増えている場合は、これに当てはまらない。
【売上総利益(粗利)】
売上高から商品の仕入や製造にかかる費用を差引いた金額。会社がどれだけ利益をあげたかがわかる。この数値が高いほど会社の収益力も高い。
【経常利益(すべての利益)】
本業での営業活動と、本業以外の財務活動で得た利益を合わせた数値で、会社のトータルな利益を表す。多くの場合、この数値が大きいほど会社は儲かっていることになるが、本業での利益の割合が高いことが望ましい。決算期の報道記事で「増収増益」「増収減益」などという言葉をよく目にするが、この「収」は売上高、「益」は経常利益を指す。
参考までに!
【当期利益(当期純利益)】
経常利益に、臨時で得た収益や特別な事態で生じた費用を加え、そこから税金を支払って最終的に残った利益。この数値から「最終的にいくら儲かったのか」ということがわかる。マスコミ記事や会社データでは、わかりやすくするために「最終利益」と表現されたり、単に「利益」と記されたりすることもある。
【自己資本利益率(ROE)】
企業が株主から預かった資金を使ってどれくらい効率よく利益を出しているかを表す数値で、「株主資本利益率」とも呼ばれる。この数値が高いほど、少ない資本から多くの利益を生み出し、効率性の高い経営をしていることになる。ただし、ROEが高くても負債の多い企業には注意が必要。
【総資産利益率・総資本利益率(ROA)】
会社が総資産(総資本)をどれだけ有効に活用して利益に結びつけているかを示す数値。「総資産」の項で述べたように、総資産の額は総資本の額と等しいため、総資産利益率と総資本利益率は実質的には同じとなる。この数値が高いほど、会社が保有するすべての資産(資本と負債)から多くの儲けを生み出していることになり、経営の収益性や効率性のよさがわかる。
【キャッシュフロー(CF)】
会社が事業や投資活動でどれだけのお金を得て、人件費や仕入れ代金などでどれだけ支払ったかを表す数値で、会社のお金の流れをつかむことができる。「営業CF」「投資CF」「財務CF」の3つからなり、この3つの合計は「現金及び現金同等物の増減額」として記載される。
「営業CF」は、営業活動で得た収入と経費による支出の差額で、「本業で順調に現金を増やしているかどうか」がわかる。事業には必ず現金が必要で、現金が少なければ金融機関などから借り入れなければならず負債が増える。つまり、安定した経営を保つためには、豊富に現金を持っている会社ほど有利ということになる。そのため、営業CFが長期にわたってマイナスの会社は要注意といえる。
「投資CF」は、設備投資など営業活動以外での資産の取得・売却の差額を表し、「会社が成長のために積極的な投資をしているかどうか」がわかる。企業が利益を生み出すために投資は欠かせないため、投資キャッシュフローはマイナスである場合が多い。
「財務CF」は、営業活動以外での借入れによる収入や返済による支出の差額。「会社が積極的に借入金を返済しているかどうか」がわかる。借入金を返済した場合はマイナスになり、逆に借入金などで資金調達すればプラスになる。優良企業はこの項目がマイナスであることが多いが、積極的に投資をしている会社は資金調達が多いためプラスになることがある。
「現金及び現金同等物の増減額」は、上記3つのキャッシュフローを合計し、最終的に企業に残った現金と現金並に価値のあるもの(預金など)の総額。この額が前期と比べてプラスになっていれば金回りが順調で、経営状態も良好といえる。
【財務諸表】
会社の一定期間の経営成績および財政状態を示した報告書。主に決算で作成されるため「決算書」とも呼ばれる。会社データは、この各社の財務諸表の数値に基づいて作成されている。
ほとんどの上場企業がホームページ上の「IR情報」「投資家の皆様へ」といったページで財務諸表を公開しており、「決算短信」として発表される。この決算短信に「連結」と記載されている場合は、連結会社(子会社・関連会社)を含めた自社グループ全体の決算数値を示す。決算のサイクルにより、1年を通じての報告は「通期(3月期)決算短信」、四半期(3ヵ月単位)ごとの報告は「四半期決算短信」、半年ごとの報告は「中間決算短信」と表記される。
財務諸表は数種類の計算書類からなるが、会社が1年間でいくら儲けたかがわかる「損益計算書」、決算時点での会社の財務状況を表した「貸借対照表」、会社のお金の出入りがわかる「キャッシュフロー計算書」の3つがメイン。


