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第2回 介護・福祉

業界研究をはじめよう!
自分に合った仕事に就くためには、業界の仕事内容や特徴、動向について知る業界研究が欠かせない。そこで、ここでは主要な29業界についてわかりやすく解説。「志望するのはこの業界!」と最初から決めつけず、まずはいろいろな業界を見てほしい。そこから気になる業界をピックアップし、深く掘り下げていこう。そこで志望業界に関連する業界まで研究すると、その業界の社会における役割をより深く理解することができるはずだ。
※各業界における主要企業の業績や最新動向については、業界勢力図をチェック!
介護・福祉 〜 多様なサービスで要介護者をサポート
【業界の特徴】
介護・福祉業界は、高齢者や障害者など要介護者のサポートとなる多様なサービスを提供する。在宅・在所介護、ショートステイ、福祉用具レンタル、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護施設や医療機関への給食サービスなど、介護・福祉ビジネスの分野は数多い。増え続ける高齢者人口を背景に、今後ますます成長が見込まれる業界だ。
【業界の動向】
団塊世代の高齢化により、75歳以上の後期高齢者人口は2025年に2,100万人を超えると推計されている。これは2011年のおよそ5割増しの数字で、介護・福祉サービスの需要拡大は必至だ。しかし、後期高齢者人口の増加とともに介護保険費用も現在の倍以上に膨らむ見込みで、それをまかなう財源の確保が問題となっている。
介護保険サービスの費用(介護給付費)は、かかった費用の1割を利用者が負担し、残りの9
割を介護保険が負担している。介護保険の財源は、国民が支払う介護保険料と国や地方の公費(税金)でまかなわれており、財源の確保には国民の負担増となる介護保険料の引き上げと、公費の確保をどこまで実現できるかが最大の焦点となっている(軽度の要介護者の自己負担割合を引き上げるという案も出ているが、現時点では慎重論が優勢)。財政難に陥れば介護給付費が縮小される可能性もあり、そうなれば介護事業者の収益減は避けられない。業界では間近にひかえる2012年度の介護保険制度改正の動向を注意深く見守っている。
財政の確保とともに、介護・福祉サービスを担う人材の確保も大きなテーマだ。
2009年の介護報酬(介護サービスを提供する事業者がサービスに対して受け取る報酬)引き上げ、「介護職員処遇改善交付金」(業界キーワード参照)の支給開始は職場環境や介護職員の処遇改善につながり、人材不足解消への後押しとなった。今後も安定して介護職員を確保するためには介護報酬の引き上げが必要だが、介護保険料の上昇にも直結するため、その折り合いをどうつけるかが課題となる。東日本大震災からの復興に巨費を要するため、2012年の医療・介護報酬同時改定における「プラス改定は難しい」という声も政府内であがっており、動向が注目される。
【業界トピックス】
特別養護老人ホームなど介護施設の総利用者数を一定の範囲に抑える「総量規制」が2012年度から撤廃される。介護サービスの利用が特別養護老人ホームなどの施設に偏ることを防ぐための規制だが、それにより施設の増設が抑えられて需要に追いつかず、特別養護老人ホームへの入所待機者が約42万人に上るという結果を招いた。撤廃により、市町村は地域の事情に合わせて自由に介護施設を整備できるようになる。今後は、財政に余力のある地域での特別養護老人ホームの開設や、都市部での富裕層向けの有料老人ホームが増える見通しだ。
2012年から介護保険制度の新しいサービスとして、要介護者に24時間体制のケアを提供する「定期巡回・随時対応サービス」が始まる。決まった時間にヘルパーが訪問して介助をする通常の訪問介護とは異なり、新サービスではトイレや食事のタイミングなどに合わせ、夜間も含めて1日に複数回の短時間訪問をする「定期巡回」と、24時間対応のオペレーターを呼び出し、必要ならヘルパーや看護師の訪問を受けられる「随時対応」を行う。事業者には安定したサービスを提供するだけの経営力や人員の確保が求められるため、どれほどの事業者が参入するかは未知数だが、利用者にはメリットが多く、需要は見込まれている。
「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)の改正案が成立し、高齢者専用賃貸住宅が「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化された。サービス付き高齢者向け住宅とは、居住空間とともに介護・医療と連携した高齢者支援サービスを提供する施設。高齢者向けの介護施設を運営する事業者は、建物のバリアフリー化、高齢者支援サービスの提供、居住の安定が図られた賃貸借契約などの条件を満たせばサービス付き高齢者向け住宅として登録でき、実施に要する費用の一部に国の補助が受けられる。増え続ける高齢者のみの世帯の暮らしをサポートし、孤立化を防ぐ制度として期待されている。
【業界キーワード】
●介護職員処遇改善交付金
2012年3月末までの間、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に、介護報酬とは別に交付される助成金。介護事業者からの申請に基づき、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円が交付される。厚生労働省は同年4月以降の交付金の継続は困難との見通しを示しているが、交付を打ち切れば賃金底上げ分を介護保険財政でまかなわねばならない。そうなると保険料アップに直結するため、決着は年末の予算編成に持ち越される見込みだ。


